FXの分析ツールであるMT4やMT5には、様々なインジケーターが搭載されています。
本記事で紹介するのは、価格の平均値やばらつきを示すstandard deviationという指標です。
standard deviationの概要や使い方を知って、トレードの精度を上げていきましょう。
この記事の目次
standard deviationとは
standard deviationとは、日本語で「標準偏差」を意味します。
学校や学力を示す指標に偏差値というものがありますが、これは50を平均として50以上なら平均より高い学力、50以下なら平均よりも低い学力を示すものです。
standard deviationは、標準偏差も似たような仕組みです。
為替相場はトレンド相場とレンジ相場に分かれますが、トレンド相場になったら価格の平均値に大きなばらつきが発生します。
このように、指定する価格の平均値がどのくらいばらつきがあるのかを示す指標が、今回紹介するstandard deviationです。
標準偏差は、人気のインジケーターであるボリンジャーバンドの計算式にも使われています。
MT4上の「挿入」→「インディケータ」→「トレンド」→「standard deviation」の順にクリックすると挿入可能です。
トレンド系指標はメインチャートに表示されるものが多いですが、standard deviationはサブチャート上に1本の線で表示されます。
この線の推移で「価格のばらつき」が分かる仕組みです。
線の上下を見て相場状況を判断する
standard deviationは、価格のばらつきやボラティリティを分析する際に用いられます。
トレンドの発生している相場では、価格のばらつきが大きい相場のため線の位置が「上向き」です。
反対に価格が落ち着いている相場であれば、線の位置は「下方向」を推移します。
サブチャート上に1本の線で表示されるという特徴から、相場の買われすぎ売られすぎを示すオシレーター系指標のように見えますが、使用方法は全く異なります。
standard deviationは、トレンドの方向に関係なく、ボラティリティによって位置が決まります。
例え、下降トレンドを形成していたとしても、ボラティリティが高いので線の位置は上方向を推移するのです。
相場の環境認識に有効な指標と言えるでしょう。
standard deviationの設定方法
次に、standard deviationの設定方法を見ていきます。
standard deviationを挿入する際は、自身で使いたいように設定を変えて見ます。
設定画面のパラメーターを選択すると、下のような画面が表示されます。
20と表示されているのは、standard deviationのデフォルト期間です。
つまり、20本分のローソク足から算出されているという計算になります。
この期間を大きくすると、standard deviationの線は緩く反応、反対に設定期間を短くすると相場の動きに敏感な反応を見せます。
適応価格では、Closeと表示されていますが、これは終値を意味するものです。
終値以外にも、以下の選択ができます。
- Close:ローソク足の終値で計算される
- Open :ローソク足の始値で計算される
- High :ローソク足の最高値で計算される
- Low :ローソク足の最安値で計算される
このような仕組みです。
デフォルト設定の終値で算出したくない場合は、Openなどの始値に設定するなど、自由に変更してみましょう。
standard deviationには、移動平均線が計算に用いられていますが、種別の項目では移動平均線の種類が設定可能です。
- simlpe:単純移動平均線(SMA)
- exponential:平滑移動平均(EMA)
- smoothed:平滑移動平均(SMMA)
- linear weighted:線形加重移動平均(LWMA)
デフォルトではSMAとなっていますが、より細かい動きに焦点を当てて分析したいという方は、exponential(EMA)に変えてみると良いです。
計算式
上部バンド: 単純移動平均線+2標準偏差(σ)
単純移動平均線(MA): 過去N日間の移動平均線(通常20日間移動平均線)
下部バンド: 単純移動平均線-2標準偏差(σ)
標準偏差(σシグマ:Standard deviation):ボラティリティー(volatility予想変動率)
引用:マネーパートナーズStandard deviation計算式
standard deviationの使い方
standard deviationは、相場の強弱をサブチャートで判断するもののため、かなりマイナーな指標です。
FXの業界においても使っている方は一握りです。
しかし、環境認識や相場判断で使う方も一定数いるので、全く使えないインジケーターというわけではありません。
具体的な活用方法を見ていきましょう。
トレンドの強弱判断
FXのトレンド相場では、波を付けたトレンドと、小さな平均値でだらだらと推移するトレンドがあります。
この中でpipsの獲得がしやすいのは、相場状況にもよりますが後者であると言えるでしょう。
上昇過程で押し目、下落過程で戻り売りの形を作ったトレンドは、反発も早くpipsが抜けにくい特徴があります。
しかし、波がなくだらだらと推移したトレンドは反発が遅く狙い目となるのです。
standard deviationでは、このようなトレンドの強弱判断ができます。
左はstandard deviationの線が上を推移していましたが、すぐに転換をしたトレンドです。
右の下降ではstandard deviationが中央付近にいながらも、だらだらと下落していることが分かります。
このように同じトレンドでもstandard deviationの線が推移する場所が変わるのです。
トレンド相場の強弱を判断する際に有効と言えるでしょう。
トレンドの前兆を判断
為替相場ではトレンドの前兆として、三角持ち合いというパターンが意識されます。
レンジ相場ではあるが、価格の平均値が徐々に小さくなって、その後トレンドが高確率で出現するというパターンです。
standard deviationは、価格の平均値が示されるという特徴から、上下に激しく動くレンジでは敏感に反応をします。
しかし、三角持ち合いと呼ばれるパターンでは、上のようにstandard deviationが極端に低い位置を推移するのです。
これを見ただけで、トレンド相場の前兆と捉えられます。
このように、具体的なエントリーポイントにはならないですが、相場の強弱を判断する環境認識の材料としては優秀です。
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